【 Vol. 16 】瘢痕形成術(傷跡の形成術)          形成・美容外科医 鈴木 敏彦
外傷・やけど、または手術などによる瘢痕(傷跡)を手術によって目立たなくきれいにしたい願う患者さんは、形成外科・美容外科の外来によく訪れます。 そこで傷跡についての基本的な考え方・治療方針について説明します。  
瘢痕(傷跡)の経過
瘢痕は治癒した直後は赤色を帯びて硬くなりますが、時を経るにつれて白っぽく 柔らかく目立たなくなります。治癒後3ヶ月間は不安定で瘢痕幅が開大したり、 傷が盛り上がってきたりすること(肥厚性瘢痕・ケロイド)があります。 従って、基本的には瘢痕の修正術は受傷後半年以上経過してから行うこととなります。  
ケロイドは、傷の範囲を超えて盛り上がり、痛み・痒みを伴います。最近よく見られるのはピアスケロイドで、ピアス穴が盛り上がりビー玉のように膨らんで来院する患者さんをよく見かけます。ケロイドは原因がいまだに不明であり治療法も決め手となるものはありません。
手術適応は少なくステロイド注入・外用や内服治療・圧迫などが治療の中心となります。
細やかな傷のケアを必要とします。
異物の埋入
  傷の幅・長さ
  傷の方向
  瘢痕拘縮(ひきつれ)
 
  によるものと考えます。
  
  外傷性の刺青となる異物の除去を行うことは必須で、
  傷の幅をなるべく細くして、傷の方向を変えて皮膚の自然皺襞の方向に近づけ、
  引きつれを減ずることによって、瘢痕を目立たなくさせる事が必要です。
  以下実際の症例を示します。 

症例1)
軽度引きつれて幅のある瘢痕を認める。
Z形成術による瘢痕形成術のデザイン
上記デザインの縫合後の状態。
術後10ヶ月。瘢痕の幅が細くなり、傷の方向が変化することで目立たなくなった。
症例2)
引きつれが中等度で陥凹した頬の瘢痕
Z形成術によって引きつれを解除し、陥凹を修正した。
術後8ヶ月ほとんど傷は目立たなくなった。

皮膚の欠損が大きい場合には、ティッシュエキスパンダーという組織拡張器を
用いた再建や皮膚移植(植皮術)を行うことがありますが、特殊な場合に限られます。
よく患者さんから、植皮するときれいになりますかと聞かれます。
特殊な部位(指・手掌など)を除けば、植皮術は修正部位とは色・質の違った皮膚となるため、美容的には非常に悪い結果になりますので、瘢痕形成術として、行われることはまずありません。

傷が治癒した後には、炎症性色素沈着を予防するために遮光は必須です。
また、色素沈着を軽減するために、美白作用のあるクリームや美容液を使用することがあります。
上の経過写真でもおわかりのように傷の経過は長く、修正術を行い完成するまで半年以上が必要ですので、決して焦らずに気持ちの余裕を持って下さい。
クリニックが出来る限りサポートさせて頂きます。 
 


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